作詞・作曲:吉幾三
昭和もすでに63年、時代の終わりが近づくそのころ。
バブルに浮かれる一方で、天皇陛下の病が進み、自粛ムードが広まるさなか、ひとつの演歌がヒットした。
『酒よ』という名のその演歌、歌手の名前は吉幾三。英語で言えば『OK let’s go!』。
誰かと思えば2年前、あの『雪國』がヒットした、新進気鋭の演歌歌手。
作詞作曲吉幾三、演歌の世界で稀にみる、シンガーソングライターだ。
もとはといえばコミックソング、デビューは田舎のプレスリー。イロモノ呼ばわりされていた。
だがその才能は本物で、民謡歌手の父のもと、こぶしのキレを鍛え上げ、フォークギターもお手の物。
『津軽平野』も作曲し、知る人ぞ知る実力者。
『雪國』だけならまぐれでも、『酒よ』のヒットも飛ばせれば、押しも押されぬ本格派。
演歌の世界でその地位を、確固にしたのがこの曲だ。
素晴らしいのがその歌詞で、もちろん作詞は吉幾三。
大事な誰かを失って、ひとり酒呑む悲しさと、切ない心が胸を打つ。
まさしく昭和の名演歌、お聴きくださいじっくりと!
イベントプランナー/劇作家
如月 伴内
ある時はイベント制作会社のプランナー。
またある時は某劇団の座付き作家。
しかしてその実体は、ちょいとミーハーな昭和ファン。